2/3、スズキが1/30に発表した新型クロスカントリー車『ジムニー・ノマド』の受注を一時停止するとの発表を行いました。
受注停止の背景
「ジムニー」初の5ドアモデル『ジムニー・ノマド』は、月間販売台数を1200台としていましたが、発表からわずか5日で約5万台の注文が入ったとのことです。
従来から販売している3ドアの『ジムニー・シエラ』、軽自動車の『ジムニー』の納期も約1年になっているらしいですが、『ジムニー・シエラ』の注文客に『ジムニー・ノマド』への変更を促したことも多少影響しているのではないかと思います。
なお、納期短縮のために『ジムニー・シエラ』から『ジムニー・ノマド』に変更した顧客には優先的に配車されるとのことですが、これもちょっと誤算だったのかな?
ジムニー・ノマドの生産体制
『ジムニー・ノマド』は、インドのグルガオン工場で生産されていますが、グルガオン工場の年間生産能力は約70万台。
『ジムニー』や『ジムニー・シエラ』が生産されている湖西工場の年間生産能力は約52万1千台と、国内最大の湖西工場よりも大きな工場で『ジムニー・ノマド』が生産されていることになりますが、『ジムニー・ノマド』だけを生産しているわけではありませんし、日本向けとして割り当てられている台数も決まっています。
また、日本向けの生産台数を増やせたとしても、輸入車という扱いになるため、日本に輸送後PDI(納車前検査、整備)が必要。
その人員をすぐには増やせないため、販売台数を大きく増やすことは難しいそうです。
ひとこと
『ジムニー・ノマド』の目標販売台数が1200台/月と聞いたときには、強気の設定だなぁと思ったのですが、ジムニーファン恐るべし。
そういえば、現行の『ジムニー』が発売されたときも、かなり長い納車待ちが発生していましたね。
ただ、個人的には『ジムニー・ノマド』ってどうなのかなぁって思ったりもしています。
4人乗車という点を受け入れられたとしても、ラダーフレームならではの乗り心地の悪さが気になります(一般的に、振動が起きやすいことと、重心が高いため揺れを感じやすくなります)。
同じくらいの価格のSUVということで、かなり路線は違いますが、トヨタ『ヤリスクロス』のZグレード、1.5Lガソリンエンジン、4WDと比較すると、『ジムニー・ノマド』のWLTCモード燃費が5MTで14.9km/L、4ATで13.6km/Lなのに対し、『ヤリスクロス』は17.1km/L。高速道路では、4速しかないATの影響か、14.3km/Lまでしか伸びません(5MTは15.4km/L)。一方、CVTの『ヤリスクロス』の高速道路モードは18.9km/Lです。
また、2WDでよければ、『ヤリスクロス』のWLTCモード燃費は18.3km/L、高速道路モードでは20.5km/Lです。
ガソリン価格が高騰している現在、この燃費の差は地味に効いてきそうです。
でも、『ジムニー』は趣味の車だと思うので、燃費は2の次、3の次という方も多いと思います。
私自身、お世辞にも燃費が良いとは言えない(しかもハイオク!)アルファ ロメオ『147』に一時期乗っていましたしね。
リッター100円を切っていた学生時代が懐かしいです。今の価格だと、『スターレット』の食費をひねり出すために、自分の食費を削らないといけないところでした。
ちなみに、あと37万4千円足すとハイブリッドモデルを購入することができて、E-FourのWLTCモード燃費は26.0km/L、高速道路モード燃費は25.2km/Lになります。
Zグレードのハイブリッドは304.0万円ですが、1つグレードを落としてGグレードにすると275.5万円になり、『ジムニー・ノマド』と同じくらいの価格になります。
税金面では、『ジムニー・ノマド』が1180~1190kg、『ヤリスクロス』が1230kgなので、重量税は同じ「1.5t以下」のクラスになりますね。
ただし、『ヤリスクロス』のハイブリッドモデルはエコカー減税として重量税から22,500円差し引かれます。また、自動車税の環境性割は非課税となっています。
仕事や趣味でオフロードに乗り入れる方、雪国に住んでおられる方にはおすすめの車ですが、オンロードだけで遊ばせておくのであれば、車の本来の性能を発揮させることもできませんし、経済性もあまり良くない車だと思います。
また、乗り心地の問題もありますので、ファミリーカーとはちょっと言えないかな?
仕事や趣味、生活環境を理由に乗られるのを止めはしませんが、「なんとなく」で購入しようと思われている方には、私としては別のSUVかハッチバックをおすすめするかな?
必要としている人たちに早く行き渡って欲しいとも思いますし。
まぁ、ひとのクルマ選びに口を挟む権利はないのですが…
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