昨年12月18日、日産がホンダとの経営統合に向けた協議を進められていることが明らかになりました。
そして昨日、ホンダが日産の株式を取得し、子会社化する案を打診していると報じられました。
これに対し、日産の経営陣は到底受け入れられないと反発し、経営統合に向けた協議は白紙となる見込みであることが報じられています。
経営統合に向けた動きの経緯
今回の2社の経営統合に向けた動きは、米中でのEV化の波に乗り遅れた2社が、開発のリソースを1本化するためとされていますが、近年経営不振に陥っている日産にホンダが手を差し出したという見方もあるようです。
今回、ホンダが日産を子会社化する案を打診したことにより、ホンダが日産の救済に手を貸すという説が真実味を帯びてきました。
また、現在日産とパートナーシップを組む三菱自動車も、この2社の統合話に加わるのではないかという説が流れましたが、三菱自動車はホンダや日産との資本の差が大きく、発言権が弱くなることから、東南アジアでの強みを活かして独自路線を進むことを表明し、ホンダと三菱の経営統合の方向性を様子見しているのではないかと見られています。
なお、今回の子会社化の話に対して日産社内には強い反発があり、経営統合の話そのものが破談になるのではと報じられています。
ここ数日事態は刻々と変化しており、この記事が公開される頃には、新たな話が出ているかもしれません。
他社のパートナーシップの状況
少し気になったので、他社のパートナーシップの状況を少し調べてみました。
まず、国内で1番密な繋がりというと、トヨタとダイハツが挙げられると思いますが、ダイハツはトヨタの完全子会社になっています。
また、トヨタとマツダは2017年に業務資本提携を結び、500億円分の株式を相互が取得。トヨタはマツダの第2位の株主になっています。
海外ですと、トヨタグループの次に販売台数が多いのがフォルクスワーゲングループですが、まず、アウディはフォルクスワーゲンの子会社。ランボルギーニの筆頭株主はそのアウディです。
ポルシェは、フォルクスワーゲンの子会社になっています。
その他、フォルクスワーゲン傘下にはベントレー、ブガッティ、セアト、シュコダなどがあります。
一方、2021年にグループPSAと、フィアット・クライスラー・オートモービルズが折半出資で合併して誕生したのがステランティスです。
ホンダと日産の経営統合協議に当てはめると
海外の状況をもとに、ホンダと日産の経営統合を考えると、当初は、ステランティスのような、対等な関係での統合の方向で話を進めていたと思われます。
また、現在も日産は「対等な関係」での統合にこだわりがあると思われます。
今回ホンダが打ち出してきた日産の子会社化というのは、フォルクスワーゲングループのような関係の構築にあたります。
つまり、日産がホンダ傘下に入るということですね。
その場合でも、日産ブランドがなくなることはないと思いますが、経営の主導権は完全にホンダに握られてしまいます。
ホンダが日産の子会社化案を打ち出してきた理由
ホンダは日産との経営統合を進めるにあたって、日産に事業再生計画の取り纏めを求めていました。
それに対し、日産は国内外の全従業員の7%にあたる9000人の削減や、全世界での生産台数2割削減といった再生計画を発表しています。
ホンダは日産の事業再生計画の取り組み状況を見て、今後の協議を進めるかどうかを判断するとの立場をとってきましたが、工場の閉鎖などに踏み切らない現状の事業再生計画では不十分で、リストラ策定の遅さにもしびれを切らせたと見られています。
日産に任せていては、さらに経営状況が悪化するので、子会社化してホンダが主導権を持って事業再生を行おうということですね。
ホンダが持つスピード感と、日産の体質が合わないと、経営統合前から早くも2社のカラーの違いが鮮明に表れた形になりました。
協議の行方は
ホンダが日産を子会社化するという案を、日産がすんなりと呑むことはないと思われます。
今日の午後から日産の役員会が開かれていて、ホンダとの経営統合に向けた協議を打ち切るのではないかとの見方が拡がっています。
一方、ホンダは溺れかけている日産に手を貸してやろうとしているという思いがあるので、日産にその気がないのであれば、それならそれで手を引くだけと考える可能性が高いです。
ホンダもEVシフトなどで後れをとっていますが、日産と手を組まなければやっていけないというほどではありませんので、他の道をじっくりと探す余裕があります。
協議が破綻して困るのは日産。
独自での再生が可能かどうかは怪しいところではないでしょうか。
ホンダからのプレッシャーを受けても”決められない日産”の醜態を見せてしまったほどですから、気づいたときには…ということも考えられます。
そうなってから日産に手を貸してくれる企業というと…考えたくもありませんね。
こんな言い方は良くないと思いますが、婚期を逃してしまって、売れ残っていた男と仕方なく、なんてことにはなって欲しくないものです。
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